さぁてと・・・・。
まあ中に入ってくれ。
まだこの館も何も整理出来ていないんでな。
 
そこの棚に白いワインが残ってるだろ。
それ取ってくれねぇか?
グラスはこれでいいか。
 
何も無いが残っているのは俺一人な訳だ。
それでもってあるのはこの連隊旗と連隊のクローク、サッシュとかの連隊服くらいだけだな。
あ、これを忘れちゃならねぇ。
連隊の心意気ってやつはまだしっかりと残ってるぜ。
ジェルグ連隊が大敗した所までは少し話したんだったな。
 
 
隊長達の遺体を馬に乗せて川辺まで走っていったんだ。
Rodはカッコつけてしんがりを引き受けていたがJukaの矢を何本も受けてたから、クソッもうだめだろう・・・と船を出したのは嫌な記憶だ。
Rodたちは俺が一番新入りで若かったから先に行かせてくれたんだと思う。
半人前の俺に「死ぬのは一人前になってからだ。」とかカッコ付けられたんだよ。
 
散り散りになったほかの隊員達とはヴェスパーの港で落ち合う事になっていた。
俺はヴェスパーだったり、近くのコーブとかをうウロウロしてみたが一向に見つかる気配がねぇ。
たまに副長らしい偉そうな態度を取った奴が来たなんて耳にはするんだが、全くもって手がかり無しだ。
 
 
とりあえず、ヴェスパーに着いた俺は遺体を埋葬して仲間達が帰れるべく拠点を用意しなくてはと思い街の不動産屋へ行って見た。給金の安かった俺には土地なんて買える金もなかった。
多少、用心棒をしたり、傭兵家業で生計を立てながら一月ほど貯蓄をした。
それまでは多くの地主達が土地をいくつも持っていて、土地は買い占められていた不遇の時代であったが、ブラックソーンが内政をゴチャゴチャやったせいか、ブリティッシュ王の重鎮たちが頑張ったせいかわからないが、農地解放の改革が起こってそれまで何軒も土地を買い占めていた地主たちが土地を解放しなくてはならない条例が発布されたんだ。
 
俺は何年かブリタニア政府に仕えていると報奨としてもらえる漆黒に服を染めれるタブがあったのでそれを売りに出して家の頭金とした。それまでは金貨何百万枚も必要としていた土地が条例の後は数十万枚で買えるだけの値に暴落していたんだ。そしてその漆黒に染めれるタブが数十万枚で売れたので運良く『苔館』の土地を手に入れることができたんだ。
 
まぁ家の真裏は墓場だし、それほど立派な建物じゃないが隠れ家としてはなかなかいい物件だったわけだ。
この『苔館』という拠点が出来たから俺はしばらくはここを中心に捜索活動をするって訳だ。
隊長の墓の世話も多少出来るしな。
まったくヴェスパーの領主どもは一体何をやってるのか。
墓場にはアンデッドがしょっちゅう徘徊しやがって・・・・。
つまり拠点はヴェスパーってこった。
港に近いし、情報も入ってくるだろうしな。
それに魚が安いし旨いしな。
少しガラが悪いのが難点だな。
まぁ故郷の辺境に比べたら町の空気ってのも悪くねぇ。
 
 
仲間がいつ帰ってきても良い様にワインだけは切らさないように注意して買出しに行くんだが、なぜか無くなるのも早くてな。
隊長がいなくなって指示系統がなくなっちまったから、あの柄の悪い連隊の連中がまとまって動けるわけが無いのは新入りの俺でも十分理解していたから、きっとどこかで右往左往しているに違いない。
 
明日から地道に探すたびに出ようじゃないか。
 
 



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