ここは地下の酒場。
俺のいつもの溜まり場だ。
特にマスターも俺に構うことなく、たまに店を留守にしたりもするが、変に気遣いもしないからどこと無く居心地がいい。
ここ最近はミノックの食堂の方に足を運んでいたから、マスターは少しコマ目に俺に気遣って客離れを防ごうとしているようだ。
この地下の酒場もJuka達との戦争よりずっと昔はものすごく繁盛していた酒場だった。
ブリティッシュ王の重鎮サンソードと呼ばれる文官がブリタニアのあまりの治安の悪さに世界をトラメルとフェルッカに分断したために、このフェルッカにある地下酒場はめっきり客が減ってしまったのである。
 
今の俺にはこの人気の無さがちょうど良いし、人を探すには効率がいい。
たまに来る客はマスターはすぐに覚えれるからだ。
一日に何十人も客が来られると誰が誰だかわからなくなっちまうからな。
 
マスターも俺が誰かを探しているっていうのは察しているようだ。
連隊の全員を探しているなんていうのは埒が明かないから、誰を探しているなんても言ってないんだが、たまに来る別の客の特徴とかは教えてくれたりもする。
 
「ジェービー、お前さんがここ最近来てくれなかっただろ?だから店の売上が減って・・・・というか、お前さんがいない間に一人旅しているような珍しい客が来てな。」
 
ジェービーってのはマスターが俺を呼ぶときの名だ。
ジャックブラック、頭文字がJとBだからジェービーだ。
大抵の奴はジャックと呼ぶんだが変に俺も名前が長いからな。
そう呼ばれるのも結構気に入っている。
 
「どんな客だい?マスター。」
 
「何かやたら偉そうな客でね。40代くらいの男でね。薄いブロンドの男だった。」
 
偉そうと言えば、俺の一つ先輩にあたる旗持ちのRodとその師にあたる副長のGalloしか思い浮かばなかった。
40代となると副長かな・・・・?
 
「名は何と言っていたんだい?」
 
「さ、さぁ・・・そこまでは・・・・。ただ、飲み物を・・・とおっしゃるからエールを出したところ、私はいつもワインだ!と言い切るもんですからね・・・初めて来た店でいつも・・はないでしょう・・・・。それでよく覚えていたんです。」
 
ワインを飲むのは当っている。
 
「その人は口髭を生やしていたかね?」
 
「あ、その語尾が〜〜〜かね?となる話し方でした!それがやたら偉そうで・・・。」
 
間違いない!
奴だ。
Gallo副連隊長はここに来たんだ!
副長は生きている!!
他の隊員は!?
 
「その人、一人だけで来たのか?」
 
「ええ。お一人だけでした。」
 
「・・・・・・・・。そ、そうか・・・・。」
他の隊員も居たら嬉しかったがまずは一人生きていると希望が持てただけでも良しとしなければ。
 
Gallo副長にまずはターゲットを絞って捜索しよう。
 
次の日の朝、俺は行くとことがあった。
偉そうという特徴だけではなかなか捜索も進むまいと思った俺はヴェスパーの魔法使いギルドに早速行って、一冊の本と普段あまり使わない羽ペンとインクを買って人相画を書いてみた。
 




 
絵心に自信はないんだ。
文句は言わないでくれ。
これで成果が得られるかわからないが、無いよりはマシだろうと自分では十分満足だった。
 
「あ、マスターに副長の行き先を聞くの忘れてた・・・・。」
 
結局、夜まで待たないとマスターが来ないのでこの日は早とちりした自分のせいで一日を無駄にした。
だが、一歩前進したことで俺の士気は少し高揚していた・・。
 




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