このブリタニアに遠征してきて結構経つがこの間やっといつもの酒場にギャロ副隊長と思しき人間が現われたというのを聞いた。だからいずれまたここに来るかも知れないと思い数日ここで飲んでいたわけだが、酔いは進むが捜索の進展はなかった。
 
ここは他の一般客すら少ない店だから他の世間様の状況もあまり伝わってこない。やむなくマスターに
「このブリタニアで繁盛している酒場ってあるのかい?」
と尋ねた。
もちろん一瞬驚いた顔をしてすぐに嫌そうな顔をして
「そりゃここよりマシな店なんか一杯ありますよ。」
「それを知りたいんだ・・・・・。」
 
 
マスターはカウンター際に置いていたワインのボトルを俺に継ぎ足すとそのボトルをカウンターに置かず、コルクをして棚に戻してしまった。やっぱり勘に触ったのであろう。
2〜3個店の名前と大体の位置を聞いたが、とりあえず、アガルタって国のワインが旨いそうなのでそこから攻めてみようと思った。ギャロもワインが好きだからいずれ会えるかもな・・・・。
ワインの味と再会の期待で気持ちが高ぶってきて手元のグラスを一気に飲み干そうとしたが、少しグラスの中のワインが足りなかった。
マスターにおかわりを頼むとスネタ顔をしてワインを注いでくれた。
 
「他の店の事を私に聞くなんて・・・・。もう少し上手に聞いてくださいよ・・・・。」
口を尖らして注いでいた。
確かに俺ももうちょい上手に聞くべきだった。
言い方一つで世の中は変わる。
 
そう言えば隊長たちにも俺は結構ひどい事言ってたなぁ・・・。少し今になって後悔する事も増えた。
 
 
「俺の意見は無視かよ!」
なんて言った事もあった。
無視なんか決してされていない。後で冷静になって考えれば分かるんだが、俺が言った事は本当にあの時に言う事だったのか?もっと前に言う機会があったんじゃないのか? 
今自分が口に出している不満は事前に回避できたんじゃないのか?
それを怠ったのはまさにお前、俺自身であろう・・・・。
 
結果論から言うのは誰にでも出来る。
しかしこれから起こりうるものを出来るだけ予測して皆に説得させるのは殊に至難である。
言うのは簡単だ。
言うだけじゃダメなんだ。
行動にしなくては。
自分だけ行動しても力不足だ。
みんなを動かさねば・・・・・。
 
しかし、みんなを動かす為にはちゃんとした説明を思いを伝えなくてはならない。
そして何よりも言葉だけではダメだ。
強さがないと。
 
よくギャロ副長が怒鳴った。
「黙れ青二才!」
シドも俺と同じように
「俺の意見は無視かよ!」
って当時思ったが、今考えると何も実績の無い俺達が言っても説得力がないんだよな・・・・。
 
本国での合同剣術訓練の時に他の連隊の部隊と合同で剣術指南してたときもそうだった。
俺よりも5歳も年下の騎士見習いが練習をしていたので俺は親切のつもりで少し剣術を教えた。
それに剣自体のバランスも悪かったので俺はカスタマイズするように勧めたが、しかし彼はあまり気に入らなかったのか、俺の指南は半ば無視気味であった。
ドツいてやろうと思ったが、その時ギャロ副長が居合わせていて、
「チミの剣はバランス悪いね。柄にウェイトを足した方がいい。」
とおもむろに指南した。
 
結局、その騎士見習いは俺に目を合わすことなく、鍛冶場へ向かい剣をカスタマイズしていた。
確かに訳の分からない新米騎士の俺なんかに言われたら余計に腹立つだろうな。
 
その様をRodが笑いながら見ていて俺に言った。
「文句言いたきゃまずはジェービー、おまえ自身が強くなれってこった。自分は何もしないで意見と称した文句言う奴の言葉なんざ副長の尻よりも軽いってわけだ。ヒャッヒャッヒャ。」
とりあえずいつかコイツを黙らすために、俺も強くなって頑張ろうと誓った日は今でも良く覚えている。

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