スカラブレイ近郊の街道はかつては様々な店が並んでいた。
今はずっと昔に世界が分断された時に多くはトラメル(=足かせ)と呼ばれる平行世界の方に多くの商業は移住していった。
しかし、それでもこのフェルッカで酒場を営む店もある。
眠れる竜の酒場。
店の屋根にはどこか異大陸のDragonを意味する文字が装飾されている。
 
さすがに無法者2人から逃れるのに愛馬も俺も少々息切れ気味だ。
ワインというよりはまずは冷たい水を一杯飲み干したい――そんな気分だ。
この眠れる竜の酒場は俺が出入りする地下酒場みたく港が近くあるから漁師や農夫たちがいるのだろうと思っていたが、やはりどこも閑古鳥が鳴いているようだ。
 
誰もいない厩舎に馬を預け2階へ上がる。
店は明るい方でこじんまりしていた。
しかし時間が早いのか、休業なのか分からないが人が居ないせいで少し広く感じた。
棚に何かボトルでもないか探したが騎士たるもの勝手に飲むわけにもいかない。
やむなくまた懐にあるヌルイ水袋から水を飲み干した。
 
(スカラブレイの町まで行って水と食料を調達しねぇとまずいな。)
探せばきっと店のどこかにあるはずだが、どうも一人の時間が多かったせいかどうも柄が悪くなってきたようだ。
そう思いつつもカウンターのコースターや空き瓶を手に取ってはいろいろ観察していた。
すると一冊の客ノートが見つかったので羽ペンを出してメモを残そうと思った。
が、インクがバッグのの底でこぼれてやがる!
畜生!あの無法者たちのせいだ!
インクはすっかり乾いてバッグのそこにドス黒い染みを作っている。
幸い、包帯や食料とは袋が別だったから良かった。
が、羽ペンがあってもインクが無きゃ書けねえだろが!
 
辺りを見回したがさっき店内は物色済みだったので店の外に目を向けた。
すると木陰に赤い点がいくつも見えた。
ラズベリーだ。
さっそく取りに行ってひとふさ口に含んだ。
(うげ、渋い!)
まだ早すぎたようだ。
都会の小洒落た騎士ならハンカチーフを出してその口に含んだものを出すんだろうが、俺はお構いなしに道端にペッと吐き捨てた。
ラズベリーの実をもう一房摘んで店内に戻り、それをすり潰してインクの代わりにペンを取った。
そのときに棚にあったグラスを借りたのは内緒だ。
 
文章ってのは書記官たちが書いてくれたから自分で書くのは苦手だ。
 
「Galloって男を見かけたら連絡をくれ。
                 〜JackBlack〜」
 
十分だろ。
俺はもう早く冷たい飲み物を飲みたくてうずうずしていた。
さっさと船で島に渡ってスカラブレイの町で休息をとるか、このままYewまで走り抜けて次なる酒場白熊亭でうまい酒を飲むか葛藤に駆られながら俺は店を跡にした・・・・・・。

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